2019年ハプスブルク展 600年にわたる帝国コレクションの歴史は上野の国立西洋美術館で開催されます。一般の前売りチケットは300円安く購入できるのでおすすめです。
ヨーロッパの歴史をのぞいてみませんか?
普段、美術館に行かない方でも、世界史、テレビ特集で「ハプスブルク家」という言葉は聞いたことがあるかと思います。
話題のハプスブルク家にまつわる展示品を日本で見る機会ができました。
ハプスブルク展で押さえておきたいポイントを事前に押さえておけば、展示されている絵画、工芸品について理解が深まること間違いなしです。
目次
ハプスブルク展600年にわたる帝国コレクションの歴史とは
「ハプスブルク展600年にわたる帝国コレクションの歴史」はオーストリアとの日本の国交150年を記念し、ウィーン美術史美術館の協力で開催されることになりました。
オーストリアと日本の国交樹立150周年を記念する本展では、同館の協力のもと、絵画、版画、工芸 品、タペストリー、武具など約100点、5章7セクショソから、そのコレクションの歴史をみていきます。
出典:Internet Museum
多くの展示所蔵品はウィーン美術史美術館です。
ハプスブルク家は13世紀ごろにスイスから次第に政略結婚政策により、領土を広げ、15世紀ごろから神聖ローマ帝国の皇帝を世襲し続けます。
ナポレオン戦争で神聖ローマ帝国が解体され、オーストリア帝国として統治していきます。
しかし、第一次世界大戦終わりにオーストリアが敗北したことでハプスブルク家のカール1世が退位し、統治が終わりました。650年間の長い歴史に幕が閉じました。
そんなハプスブルク家がオーストリアを中心として、ヨーロッパの幅広いネットワークを駆使し、コレクションした芸術品を見ることができます。
650年の長い歴史の中で、それぞれの時代に応じたコレクションの遷移を楽しむことができます。
ハプスブルク展の前売りチケットは300円安い
ハプスブルク展のチケットは前売り券のほうが安く購入できます。
購入できる場所は公式ホームページまたは上野の国立西洋美術館の館内で購入することができます。
当日購入は1700円です。
(大学生1100円、高校生700円、中学生以下は無料です。)
前売り券は一般1400円です。
(大学生1000円、高校生600円)
※公式サイトでの前売券は8月10日(土)~10月18日(金)まで販売しています。
※国立西洋美術館での前売り券は10月17日(木)と1日短くなっています。
一般チケットを前売り券で購入することをおすすめします。
開催期間、開催時間、アクセス
開催期間は2019年10月19日(土)〜2020年1月26日(日)です。
開催時間は9時30分〜17時30分ですが、金曜、土曜は20時までです。
ただ、11月30日は土曜ですが、17時30分までになっています。
※入館は閉館の30分前までですが、やはり展示品を見るとなると30分じゃ足りませんので、2時間前には入館したいですね。
開催場所は上野の国立西洋美術館です。
ハプスブルク展の見どころ紹介
ハプスブルク家とは、13世紀から20世紀までの約650年間という長い間、神聖ローマ帝国、オーストリア王朝の皇帝としてヨーロッパ屈指の名門一家です。
ハプスブルク家は戦争ではなく、政略結婚によって、スイスから次第に領土を拡大してきました。政略結婚によって家系図が複雑になっているので、ハプスブルク家にまつわる関連人物も多いのですが、その中でも注目しておきたい人物がいます。
ハプスブルク家の中でも、以下の8人の関連する展示品がハプスブルク展ではメインとなっています。
・マクシミリアン1世
・ルドルフ2世
・フェリペ4世
・マルガリータ・テレサ
・マリア・テレジア
・マリー・アントワネット
・フランツ・ヨーゼフ1世
・エリザベト
8人に関する知識と展示品とのかかわりについて予習すれば、ハプスブルク展に行ったときに、さらに楽しめるのではないかと思います。
マクシミリアン1世(1459~1519)とは
By Bernhard Strigel - Kunsthistorisches Museum Wien, Bilddatenbank., パブリック・ドメイン, Link
マクシミリアン1世は騎士道精神にあふれていることから中世最後の騎士と呼ばれています。また、芸術も保護していました。
政略結婚政策をすすめ、ハプスブルク家の礎を築いた人です。
ブルゴーニュ公マリアと結婚し、ネーデルランド領土へ拡大しました。ネーデルランドの内での反乱を抑えることができたので、神聖ローマ帝国の後継者に即位しました。
その後、ハンガリー・オスマン帝国連合軍を撃破し、ハンガリーを制圧できたので、その実績がたたえられて神聖ローマ帝国の皇帝として即位しました。
神聖ローマ皇帝として即位したときの肖像画はハプスブルク展で見ることができます。
タイトルは「ローマ王としてのマクシミリアン1世」です。上の画像になります。
肖像画家で名をはせていたベルンハルト・シュトリーゲルが描きました。
お父さんも肖像画家で、お父さんの元で修業していたそうです。
ベルンハルト・シュトリーゲルはマクシミリアン1世の宮廷画家で、「マクシミリアン1世とその家族」という作品も生み出しています。
宮廷画家というワードが出てきましたが、宮廷画家とは何でしょうか?
次は宮廷画家についてご紹介します。
宮廷画家とは
宮廷画家とは王族貴族から依頼を受けて作品を制作する芸術家のことをいいます。
雇い主以外の仕事を受けることを制限されることが多いが、地位や邸宅が与えられることもあったそうです。
君主などの王族は独自で宮殿内に工房を持っていることが多く、そこで君主の趣向に合わせて作品が制作されていました。
ヨーロッパの中世以降は多くの宮廷画家を招集しており、画家たちは宮廷画家になることにより、自分の知名度、名誉を上げるため宮廷画家になりたいと希望していたそうです。
今回のハプスブルク展の絵画は、王族貴族または君主についている宮廷画家によって描かれています。
私たちがよく美術館で見ている作品は宮廷画家の活躍により、その当時の生活風景、様子を見ることができるのです。
ルドルフ2世(1552-1612)とは
By ヨーゼフ・ハインツ - The Yorck Project (2002年) 10.000 Meisterwerke der Malerei (DVD-ROM), distributed by DIRECTMEDIA Publishing GmbH. ISBN: 3936122202., パブリック・ドメイン, Link
神聖ローマ帝国の皇帝として君臨したルドルフ2世ですが、芸術を保護し、色んな芸術作品のコレクターとして知られています。
自分の宮廷に芸術家や学者、愛好家(天文学者、馬の愛好家など)を招いていました。
敷地内に動物園があったといわれています。
皇帝としての業務よりも工芸品、絵画収集に力を入れていました。
ルドルフ2世は失政と言われ、晩年は幽閉されてしまいます。
そんな多趣味なルドルフ2世が集めた数多くのコレクションを展示した展示会が去年
開催されていました。
天文学、錬金術、動物、植物など色んな分野の工芸品、絵画などを集めていますので、ハプスブルク展では、彼のコレクションを見てみるとよいでしょう。
フェリペ4世(1605~1665)とは
By ディエゴ・ベラスケス - [1], パブリック・ドメイン, Link
スペインの王としてフェリペ3世に次いで継いだのですが、フェリペ3世と同様に政治に興味がなく、度重なる戦争と失政でスペインを荒廃させてしまいます。
しかし、文化面においては宮廷画家で有名なルーベンスやベラスケスに多くの傑作を描かせていました。
ハプスブルク展の展示品にはベラスケスが描いたスペイン王妃イサベルやフェリペ4世の肖像画を見ることができます。
スペイン王妃イサベルはフェリペ4世が政略結婚によって結婚した最初の王妃です。
また、上の画像もベラスケスが描いたフェリペ4世の肖像画です。
ハプスブルク展でルーベンスやベラスケスの作品も多く見ることができると思います。
マルガリータ・テレサ(1666-1673)とは
By ディエゴ・ベラスケス - The Yorck Project (2002年) 10.000 Meisterwerke der Malerei (DVD-ROM), distributed by DIRECTMEDIA Publishing GmbH. ISBN: 3936122202., パブリック・ドメイン, Link
マルガリータ・テレサはフェリペ4世とフェリペ4世の2番目の妻マリアナの間に生まれました。
特徴的なのはフェリペ4世はマルガリータ・テレサを溺愛していたため、宮廷画家のベラスケスに彼女の肖像画を描かせていました。
マルガリータ・テレサの肖像画が数多く残されており、宮廷画家のベラスケスの作品の中でも可憐な作品となっています。
マルガリータ・テレサも政略結婚のため、お見合い写真代わりとして、ベラスケスに肖像画を描いてもらっていました。
政略結婚後、結婚生活6年の間に6人に子供を出産したおかげで体が弱り、若くして亡くなりました。
ハプスブルク展ではマルガリータ・テレサの肖像画を見ることができます。
マリア・テレジア(1740-1780)とは
By ジーン・エティエン・リオタール - Musea en Erfgoed Antwerpen, パブリック・ドメイン, Link
神聖ローマ帝国の皇帝カール6世の娘です。
夫のフランツとは当時では珍しい恋愛結婚をし、16人の子宝に恵まれました。
その子供の中にはマリーアントワネットがいます。
優れた政治力と手腕で幾度なく訪れるハプスブルク家の危機を乗り越えました。
マリア・テレジアの肖像画には戴冠の肖像画が多く、権力の高さがうかがわれます。
マリー・アントワネット(1774-1792)とは
By エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブラン - Versailles, パブリック・ドメイン, Link
マリア・テレジアの娘ですが、政略結婚によってフランスのルイ16世と結婚します。
パリの街が好きでよく仮面部同会にも遊びに行っていました。
また、自分がもう少し遊べる施設を作りたいと考え、庭園を造ったりしていました。
市民は国のお金を自分たちの生活のためではなく、王族の名誉や宮殿の増築費用に使われることに反感を覚え、次第に怒りの矛先をマリーアントワネットに向けていきます。
ハプスブルク展ではマリー・アントワネットはファッションに興味があり、宝石を沢山持っていました。宝石類が見れるかもしれません。
フランツ・ヨーゼフ1世(1848-1916)とは
By Unidentified painter - http://text.habsburger.net/module/das-bildnis-des-franz-joseph/das-bildnis-des-franz-joseph/MB-ST_K15-MOD9-07.jpg/?size=preview&plus=1, パブリック・ドメイン, Link
オーストリア帝国を68年統治していたが、フランツ・ヨーゼフ1世の治世はハプスブルク家のオーストリア帝国の解体へ傾きつつありました。
オーストリア帝国の最後の皇帝と呼ばれています。
政治はひっ迫しつつも、オーストリアの芸術文化を保護していたことから、文化が発展していき、評価されています。
現在はフランツ・ヨーゼフ1世の肖像画は銅像や商品のパッケージデザインに使用されています。
ハプスブルク展ではフランツ・ヨーゼフ1世の肖像画やその当時の芸術作品が見れると思います。
エリザベート(1837-1898)とは
By フランツ・ヴィンターハルター - 不明, パブリック・ドメイン, Link
フランツ・ヨーゼフ1世の皇后です。美容に興味を持ち、ダイエットを行っていました。
美貌と細身のプロポーションを保っていたそうです。
皇后としての公務には興味がなく、また姑と仲が悪いので、息子と一緒にウィーンを離れ、各地を転々としていました。
ハプスブルク展ではエリザベートの美貌が垣間見える肖像画を見ることができるでしょう。
最後に
ハプスブルク展に行くうえでのポイントをご紹介しました。
チケットを購入するだけではなく、事前に展示物の時代背景を知っておくと、実際に行ったときに楽しく鑑賞できると思いますので、行く前に事前に展示物にまつわる時代背景を確認しておきましょう。